いい文章ってなんだ?
って考えたことはあるでしょうか。
- 誤字・脱字がない
- 正確に情報を伝えられる
- ○万字以上の力作!
などなど、色んなモノサシがあると思います。
インターネットが普及してから、個人が発信した文章を目にすることが圧倒的に多くなりました。
思わず「わかるわぁ~」とうなるものから、「くだらねぇw」とクスっとしてしまうものまで。面白いなぁって思うこと、たくさんありますよね。
- 文字数は多いのに、なぜかスラスラ読めてしまう
- 「この文章、おもしろい!!」と誰かに教えたくなってしまう
そういう文章が「バズる」(ネットで爆発的に話題になる)わけですが、なぜバズるのか・・・・考えたことはあるでしょうか。

僕はありませんでした。「すんげぇ~!!」って思うだけ。笑
バズるには、バズるなりの理由があります。
バズるには、バズるなりの法則があります。
「ついつい読んじゃう!」という文章は、いったいぜんたいどんなメカニズムで作られているのか・・・。
その謎を紐解いてくれる素敵な本を見つけたので、紹介します!!

そんな僕は駆け出しWebライターのかなむ(@kanamwriting)です。
本の概要
『バズる文章教室』は、〝文才〟と言われる「すぐれた文章感覚」を、できるだけ平易な言葉を使って解説する本です。 主にブログやSNSなどで日常的に、自分の考えや体験などを発信している人に役立つようにと考えて作りましたが、めったに文章を書かない人にも、これから文章を書いてみようと考えている人にも、あまり知られていない「読みたくなる文章のからくり」を楽しんでもらうことをめざしています。
Amazon紹介文
文才を感じる文章が、なぜ「文才がある」と感じるのかを解説した本です。この一文で、僕に文才がないことはモロバレしてしまいましたね。パオン。
内容は下記のとおりになっています。
目次
CHAPTER1 バズるつかみ
- しいたけ.の誘引力
- 星野源の未熟力
- 佐々木俊尚の身近力
- 村田喜代子の展開力
- 森鴎外の寄添力
- 北原白秋の配合力
- 山崎ナオコーラの冒険力
CHAPTER2 バズる文体
- 村上春樹の音感力
- かっぴーの弱気力
- 林真理子の強調力
- 綿矢りさの簡潔力
- 三浦しをんの台詞力
- 向田邦子の柔和力
- 井上都の冷静力
- 恩田陸の快速力
- 橋本治の豹変力
- 上橋菜穂子の親身力
- 永麻里の代弁力
- 開高健の実直力
- 司馬遼太郎の撮影力
- 三島由紀夫の対比力
- 谷崎潤一郎の気分力
- 紫原明子の息継力
CHAPTER3 バズる組み立て
- 秋元康の裏切力
- 江戸小噺の小粋力
- 高田明の視点力
- さくらももこの配慮力
- こんまりの豪語力
- 齋藤孝の更新力
- 上野千鶴子の一貫力
- 塩谷舞の先読力
- 有川浩の共感力
- 藤崎彩織の旋律力
- 武田砂鉄の錬金力
- 山極寿一の置換力
- 岸政彦の中立力
- 日本人の悲哀力
- 瀧本哲史の要約力
CHAPTER4 バズる言葉選び
- 俵万智の合図力
- 松井玲奈の国民力
- J・K・ローリングの超訳力
- 阿川佐和子の声掛け力
- 宮藤官九郎の激化力
- よしもとばななの意味深力
- 山田ズーニーの一対一力
- 岡本かの子の言い残し力
- ナンシー関の警告力
- ビジネス書の隠喩力
- 又吉直樹のかぶせ力
各章は
各章の構成
- 既存のバズってる文章
- 何がすごいのか
- なぜそう感じるのか
- 応用するならどうするか
といった構成になっています。
著名人、個人ブロガー、エッセイスト、作詞家、文豪、さらには江戸の小噺(落語)まで、様々なジャンルの文章が、様々な手法でバズっています。その文章を一つ一つ、懇切丁寧に「なぜバズったのか」を分析し、解説しています。これはもうバズライトイヤーです。ちがいますね。

無限の彼方へ、さぁ行くぞ!
著者について
著者は書評ライターの三宅香帆さん(@m3_myk)です。自身で「文芸オタク」を名乗るほどの本好きなんだとか。文学研究や書評を書かれており、著書は5冊出版されています。
文筆家、書評家。1994年生まれ。高知県出身。
本書プロフィールより
京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。天狼院書店(京都天狼院)元店長。
2016年「京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う本ベスト20を選んでみた。《リーディング・ハイ》」がハイパーバズを起こし、2016年の年間総合はてなブックマーク数ランキングで第2位となる。その卓越した選書センスと書評によって、本好きのSNSの間で大反響を呼んだ。
著書に『人生を狂わす名著50』(ライツ社刊)がある。
めっちゃ若い!すごい!(語彙力)
他の著書は拝読したことがなく本書で初めて知りましたが、めっちゃ美人でした。
ありがとうございました。(?)
おすすめポイント
本書のおすすめポイントをご紹介します。
自分に合ったバズパターンがわかる
本当に色んなパターンのバズ文が紹介されているので、
- これはすぐに試せそう!
- こういう手法もあるのか
- これは自分のキャラ的に使いにくいなぁ
というのがわかります。また、パターンもたくさんあるので、自分に合ったテクニックを見つけることができます。
細かい章立てがされている
バズテクニックの解説については、1テクニックにつき4~5ページで完結します。このおかげで、ちょっと空いたスキマ時間に1章だけ読むということができます。
また、自分の気になるところだけ読むこともできるので、つまみ読みにも持ってこいです。

- つかみだけ知りたい
- 全体の構成について学びたい
というように、目的に合わせてサクッと読むことができます
活用方法まで書いてある
バズ文がどういう成り立ちか解説して終わり、ではありません。
- テクニックを使う/使わないで文章の印象がどのように変わるのか
- テクニックを使うために気を付けるポイントは何か
といったことがきれいにまとめられているため、「どういう思考で文章を考えればよいか」という方針を学ぶことができます。このおかげで、読んですぐに実践することが可能になります。
面白かったポイント
実際に読んでみて面白かったポイントをご紹介します。
作者への愛ゆえの暴走
著者がバズ文の作者をリスペクトするあまりに暴走することがあります。笑
たとえば、「コラムの女王」林真理子先生を例に出して解説するときはもうべた褒め!!
一瞬冷静になって、「あれっ?引いてる!?」と戻ってくるのもなんだかクスっとしてしまいます。
たしかに、僕も藤くん(愛してやまないBUMPOFCHICKENのギター/ボーカル)のことを熱く語るのであれば、少々おかしなテンションになっちまうよなぁと思いながら読んでいました。そういえばこの本、秋元康は出てくるのに藤くんが出てこないじゃない!おこだよ!!
時折あるツッコミがコミカル
○○じゃないんか~い!
って、芸人さんのツッコミではよく見ますけど、改めて文章として書かれると、なんだかとってもシュールです。
「この文はこういった手法で~」
みたいな説明で、こっちも「ふむふむなるほど~」と読み進める中、唐突に現れる
じゃないんか~い!
の緩急がすごいです。ダルビッシュの投球かな?

このコミカルさのおかげで、最後まで飽きることなく読み進めることができますよ。
まとめ:これで僕もバズライトイヤー。
以上、『バズる文章教室』の感想&紹介でした。ノウハウ本としても勉強になりますが、純粋な読み物としても面白かったです。いろんな人の素敵な文章がてんこ盛りなので、改めて文章表現の奥深さと楽しさを知ることができました。
バズる文章の理由が分かっただけで、自分でもバズを起こせそうな気がしますよね。僕はもう無敵です。気のせい?そんなこと言わないでよ。
いちばん印象に残っているのは、この本の序盤、【星野源の「未熟力」】が『バズるつかみ』であると解説されている部分です。
内容は「何がどうあっても洗面台がビシャビシャになる」という星野源が抱える謎を、文章の初めに読者と共有する、というもの。
この章を読んだとき、僕の前進に衝撃が走りました。
これはもう晴天の霹靂。コペルニクス的転回とでも言いましょうか。
「男たるもの、かっこよくあるために努めるべし」と信じる僕には、とにもかくにも大衝撃です。
星野源の「未熟力」。つまり、星野源は未熟ゆえにバズるつかみができるというのです。
40超えたおっさんお兄さんが、洗面台をビシャビシャにするというくそあざといなんとも意外な、未熟な部分を暴露をすることが、バズるつかみだというのです。そうやってガッキーの心も鷲づかみってか!えぇ!?
なんということだ・・・・。これはもっと早い段階で知っておきたかった。そうは言っても過ぎてしまった時間は戻らない。後悔先に立たずとはこのことである。
どこかで聞いた小気味よい関西弁が、僕の脳内で反響する。
某ライオンさん「今日が人生で一番若い日やで」
僕はゆっくりうなずいた。この本を読んでよかった。だって、もう知ったのだから。バズの法則を。読書で一番大切なことは読み込んでインプットすることではない。書いてあることを実践して、きちんとアウトプットすることである。
僕は洗面台をビシャビシャにした。
・・・・と、今日はこのへんで。
※星野源さんに私怨はありません。ご結婚おめでとうございます。末永くお幸せに。